20080326

バカリャウ 休日出勤 天衣無縫


滞りなく模型とパネルを梱包し、レンタカーに詰め込む。最後は模型職人パウロに搬送を任せて、僕らは馴染みの食堂で少し遅めの昼食をとった。少し味付けの濃いバカリャウ(1)にオリーブオイルをたっぷりかけて食べながら、達成感と疲労感の混じりあった、今までに幾度となく味わったことのあるあの独特の感覚に僕は少しの間身を任せていた。
バカリャウとつけあわせのひよこ豆をゆっくりと胃袋に収めながら、深くプロジェクトに関わることで初めて浮き上がってくる地平についてあれこれ考えてみる。いい事ばかりではないということも。それでもポルトガルに来て良かったと確信できるのは、きっと恵まれたことなのだろう。

三連休も毎日休日出勤していただけに、生活のリズムがリセットされないまま月曜日を迎えてしまった。本来ならコンペ提出日の午後とその翌日は休みをもらえることになっているはずなのだけれど、コーディネーターから特に何も言われなかったことと、僕の真後ろに座っている天衣無縫な男リシャルディが担当している別のコンペに早速組み込まれてしまったことで、どうやら僕はその機会を逃してしまったみたいだ。

(1)Bacalhau :干し鱈。日本のソウルフードがおにぎりだというなら(かもめ食堂)、ポルトガルのソウルフードはこのバカリャウ。国民一人当たりの年間消費量は約13キロ、そのレシピは365通りとも言われている。スーパーマーケットの生鮮食料品売り場に近づくと、幾重にも重ねられたバカリャウが強烈な匂いを放っている。

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