20080425

4月25日 SAAL 海神の勇者達


1974年以降、4月25日はポルトガルにとって最も大事な日付のひとつとなっている。

40年以上続いたアントニオ・サラザールの独裁体制(エシュタード・ノヴォ)に対して起こった革命は、ほとんど血が流れずに成就したことから無血革命とも、革命軍の兵士が銃口にカーネーションを挿していたことからカーネーション革命とも呼ばれている。当時の首相カエターノが投降したのは、立てこもった共和国警備隊本部の建物が包囲されて、目の前のカルモ広場が革命に賛同する人々で埋まってからすぐのことだった。

革命がポルトガル建築界に及ぼした影響も大きい。
革命後の低所得者向けの住宅供給プロジェクトSAAL(servicio de apoio ambulatorio local)が発足し、これに参加するアルヴァロ・シザらが多くの名作と呼ばれる集合住宅を設計した。また、それまでは情勢の不安定なリスボンよりもポルトが建築界のメインストリームだったのに比べて、リスボンに次世代の建築家が現れてきている。挙げればきりがないが、革命抜きに語れない部分が多いのは事実だ。

ポルトガルでは革命記念日は休日。革命の象徴でもあるカルモ広場では、終わってしまっていたがどうやら吹奏楽団が演奏をしていたらしい。広場に面した共和国警備隊本部の建物では革命に関する展覧会が開かれ、彼らが使っていた武器や乗り物が中庭に所狭しと展示されていた。よく見ると街を歩いている女性が手に手にカーネーションを持っている。きっとどこかで配っているのだろう。テレビでは革命に関する生放送特番が放送されている。そういえば、朝カフェでチョコクロワッサンを食べているときに、突然広場でおばちゃんが歌いだしたのはポルトガルの国歌だった。

「海神(わだつみ)の勇者達
勇敢かつ不滅の国家
今一度立ち上がれ
ポルトガルに栄光あれ!
追憶の霧の彼方から
おお祖国よ 聞こえるか
我等を勝利に導く先人の声が!

武器を取れ!武器を取れ!
大地に 海原に
武器を取れ!武器を取れ!
祖国のために戦わん
砲撃をかいくぐり 進め!進め!」

勇ましく歌い終わった直後、おばちゃんはそのままサビだけのビートルズメドレーに繋げた。

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