20080420

黒いボルボ 東京電力 発生しないアクティビティ 

ようやく関わっていたコンペが終了した。

最後の最後で用意していた車に梱包した模型が大きすぎて入らなかった時に少々混乱はあったけれど、最後の最後の最後でカヒーリョ自ら彼の黒いボルボで提出先に向かって、どうやら締め切り5分前に提出できたらしい。後にも先にもあんなに素早く動くカヒーリョを見ることはもう無いかもしれない。
今回のコンペはリスボン内のテージョ河に面した都市計画規模の敷地に、プログラムを含めて開発計画の提案をするというもの。クライアントはEDP(Energias de Portugal)という、日本でいう東京電力のような電力会社で、彼らの所有する、もしくは交渉している段階の土地が敷地になっている。

うちの事務所から目と鼻の先にある場所で、隣はノーマン・フォスターが担当することが決定している区画になっている。ポルトガル国内の著名な建築家がこぞって参加していることからも、リスボンの中でも重要な意味を持つ地区だということが伺える。

ポルトガルの建築家は、都市計画的な視点をあまり得意としない。という見解がある。そもそも、首都リスボン自体が、他の主要な欧州都市と違って綿密な計画の上に建てられた街ではないし、リスボン市内の一部を除いて、国内に近代都市計画の成功例はあまり多くない。さらに、経済的な理由から、ポルトガルではアクティビティが発生しにくい状況が生まれているという。平面図でカフェやショップを描き込んで、いかに賑やかに見せても、なかなか思うように店舗が入らずに閑散としてしまうケースが後を絶たないらしい。
だからこそ、「美術館」みたいに与えられた条件の中での提案ではなく、条件そのものを含めて提案するという今回のコンペの試みはポルトガルにとって、またポルトガルの建築家自身にとっても、とても価値のあるものになるだろう。彼らが自覚しているかは別にして。

僕にとっても、このコンペを通じて得たものは大きい。技術的な収穫もかなりあった。プレゼンテーションのレイアウトや、ブックレットの製本の仕方なんかも、デザイナーのヌノから色々とコツを教わった。何より来葡して最初の週に関わったポルトのコンペでは、敷地模型の一部しか作らせてもらえなかったのに比べると、遥かにプロジェクトに深く関われて楽しい。後は研修生用の旧型のパソコンがもう少し速く動いてくれたら言うことはないのだけれど。

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