20080225

稜堡式城郭都市エルヴァス 十字砲火 HP回復


アレンテージョ地方の中心都市エヴォラから、さらに二時間半ほど高速バスの柔らかいシートに揺られる。どこまでも続く草原、斑に生えたオリーブの木とコルク椰子、大地を這ってゆっくりと移動する雲の影。アレンテージョ特有の景色の中に、壁に囲まれた町エルヴァスが丘の上に現れる。

スペインとの国境からほんの目と鼻の先にあるこの町は、サンタ・ルジアとノッサ・セニョーラ・ダ・グラッサと名づけられた要塞に守られている。大砲による十字砲火(正面と側面の二つの方向から一箇所を狙って攻撃すること)を可能にする為に、城壁は上空から見ると星のような配置(1)をしている。

ポルトガルの、特に内陸では、まるでRPGのフィールドと町のように、広がる大地に塊のような町がぽつねんと佇んでいる風景をよく目にする。

僕は旅の記録をセーブする為に町の教会へ行き(生憎閉まっていた)、HPを回復する為に町の宿屋に泊まり、情報収集をする為に入った町唯一の酒場で、ハウスワインを開け、ジャガイモベースの人参スープを飲み、アスパラガスの入ったスパニッシュオムレツを食べ、デザートにセリカイア(2)を食べた。この町では古くからの伝統のある「カーニバル」というイベントが発生するはずだったのだが、本降りになった雨の中でパレードを始めようとする人はおらず、町中に設置されたスピーカーから楽しげな音楽だけが大音量で流れていた。


(1)星のような配置 :稜堡式城郭と呼ばれる城郭形式。
(2)Sericaia de Elvas :エルヴァスに伝わる伝統的な焼きスフレ。シナモンパウダーを振りかけ、この地方で採れるプラムを蜜漬けにして添える。濃厚な卵の風味と、フルーティーなプラムのソースがよく合う。

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