20080510

七つの丘 コウカリオ スニーカー 


七つの丘を持つといわれているリスボンの、マーラーの音楽みたいに起伏の激しい道には、「コウカリオ」というライムストーンが敷き詰められている。立体的なリスボンの街を覆うこの石畳は、複雑に入り組んだ道の高低差の誤差を吸収して、坂道を歩く際の滑り止めの役割を果たしている。ただし雨が降ったときには凶器と化すのだけれど。

最近、僕は事務所に向かう道すがら職人がコウカリオの道を修繕している所を見かけた。リスボンだけでも気の遠くなる程あるコウカリオの小片の一つ一つが、こうして人の手を通して嵌め込まれているのだ。この石の一つ一つが、リスボンっ子の足腰を鍛えているのだ。そう思うと、ところどころ歩きにくいところがあっても、休日なんかに一日中歩くと足首がふにゃふにゃになってしまっても、スニーカーのソウルがたった一ヶ月でありえないくらい擦り減ってしまっても、なんだか許せてしまう気がした。

No comments: