20080530

ギマランイス 広場 綿毛


日本と同じで南北に細長いポルトガルでは、緯度の変化とともに気候もやっぱり変化する。それに合わせるように街並みの形式も変わっていく。南部アルガルヴェ地方では地中海都市によく見られるスタッコ仕上げの白い街並みが展開され、中部から北部に行くと国産の石材を用いた石造りの街並みへと変わっていく。更に北部、ポルトを含めたドウロ川沿岸には木造の街並みも見ることができる。特にポルトガル発祥の地(1)として知られているギマランイスの木造の街並みは2001年に世界遺産にも登録されている。
ギマランイスへリスボンから直接行くにはバスに四時間半ほど揺られる必要がある。ポルトを素通りして更に60kmほど北上していく。ポルトガルを縦断していくと、窓から見上げた空に浮かぶ雲の厚さや重さが段々と変わっていくのが楽しい。

ギマランイスは、ポルトガル建築界の巨匠アルヴァロ・シザの師にあたる建築家フェルナンド・タヴォラとゆかりの深い街でもある。

旧市街の広場のいくつかは彼の手によって12年間に渡って改修されている。リスボンを含めたポルトガルの街では、他のヨーロッパの都市と比べて広場が少々使いにくいと思うことがある。それは地形とか都市計画のレベルとかが関わっているのだけれど、この街の広場はどれもよく使われている。決して広かったり平坦だったりはしないのだけれど、たくさんの小さな広場がうまく配置されていて、例えばある広場のオープンカフェに腰を下ろすと、建物の隙間から隣の広場で坂を転がるボールを子供達が追いかける姿が見えたりする。タヴォラはそれらの中の四つの広場を、それぞれに異なる手法を使って改修している。

五月のギマランイスの街中では、季節はずれの雪みたいな正体不明の綿毛が大量に漂って歩道に積もっていた。

(1)ポルトガル発祥の地: ギマランイスは初代ポルトガル国王アルフォンソ・エンリケスが生まれた街。街の入り口には「ここにポルトガル誕生する」と大きく書かれた壁がある。

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