20080530

エポックメイキング 地続き 熟練


ギマランイスの街を見下ろす山の中腹に建つポウザーダ「Santa Marinha da Costa」も、フェルナンド・タヴォラによって計画されたものだ。

それまで復元が主流だったポウザーダ建築で初めて増築、改修を本格的に行ったもので、他の建築家に一つの道を示したエポックメイキングなプロジェクトといえる。

既存の修道院は改修され、中庭から伸びた長細い棟は客室(オールドタイプ)とレストランになった。それと平行に客室棟(モダンタイプ)の新築部分が配置されている。また傾斜のついた地形を活かして、前面の新築部分の屋根面は後ろの既存部分の庭の地面と同じ高さで地続きになっている。最初僕はそうとは知らずに新築部分の屋根の上を歩いていた。こうすることで、下から見上げたときに新築の赤茶色のファサードと既存の白いファサードのきれいなコントラストを見ることができる。

新築部分は思ったよりも低く、親近感のあるスケール感が写真で見るのとは違った印象を差し出している。当時としては実験的だったはずなのに、非常に質の高い空間構成とディテールが達成されていて、僕は何か熟練されたものを感じた。

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