20080521

外科的処置 のび太の日本誕生 コウノトリ


ペーニャ・ガルシアからバスの座席の確保に失敗した僕らは、タクシーを使って帰り路の途中にあるイダーニャ・ア・ヴェーリャという村に立ち寄ることにした。ペーニャ・ガルシアからタクシーで30分ほど進んだところにあるこれまた小さな村だ。
実はこの村には最初から寄る予定をしていたのだけれど、バスの時刻と帰りの列車の時刻から逆算して、あきらめざるを得ない状況になっていた。それが色々と予定通りにいかないことが重なって、結局予定通りに訪れることができたわけだ。
ローマ時代に栄えたイダーニャ・ア・ヴェーリャは、ローマからの支配が終わった後はすっかり廃墟と化してしまっていた。20世紀になって、遺跡の考古学的調査や、ポルトガルの建築家集団atlier15による修復、増築を通して村の再生を試みるプロジェクトが現在進行形で行われている。
ポルトガルにももちろんローマの遺跡はある。それも、初夏のデパートのワゴンセールみたいに沢山ある。この短期間に僕が訪れた場所だけでも、コインブラにあるコニンブリガや、ヴィラ・モウラ、ヴィアナ・ド・カステロにも見学のための足場が組まれた遺跡があった。
低い壁で囲まれたこの小さな村には、ところどころに建築家の手によるものと思われる外科的処置が施されている。スチールの手摺や足場、教会にかけられた新しい鉄骨の屋根、発掘された品を保管・展示するためのガラスボックス。古い記憶に新しい技術を組み込むという、どこかSF的発想を感じるためか、そのどれもが僕をわくわくさせる。そういえば、僕はドラえもんの映画の中でも、彼らがタイムスリップして古代に行ってしまう話が特に好きだ。
建築家がこの街で時間と空間をどうやって操作していくのか。コウノトリが村の中心にある改修された教会のてっぺんに巨大な巣を作って、それを見守るように優雅に佇んでいた。

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