20080705

スキャンダラス レゴ・ブロック 満員


小高い丘の上に立つ城からレイリアの街を見下ろしていると、旧市街とは反対側にある色鮮やかなスタジアムから途切れ途切れに大きな歓声が聞こえてくる。上から見るとアルファベットのUの形をしたこのスタジアムは、ポルトガル建築界の異才トマス・タヴェイラによるものだ。
彼の話を持ち出すと、どちらかというと彼のスキャンダラスな私生活の方がメーン・テーマになってしまいがちなのだけれど、彼の作品がポルトガルのポスト・モダンを語る上でとても重要な位置を占めていることは事実だ。「ヨーロッパ建築案内」というあまりにも有名な本の中で、彼の設計したポスト・モダンなショッピングセンターがポルトガル・リスボンのページの最初に載っているのはさすがにどうかとは思うけれど。
トマス・タヴェイラはスタジアム建築家という顔も持っている。ポルトガル国内だけでもいくつものスタジアムを設計しており、アヴェイロに建てたものは国際オリンピック委員会から最優秀スタジアム賞を受賞している。
僕は歓声に導かれるようにスタジアムへ近づいていった。赤、白、青、黄色、緑、黒といった原色がちりばめられた外壁は、まるでレゴ・ブロックでできているみたいに賑やかで楽しい。その日はヨーロッパ陸上選手権の一次予選が開催されていて入場は無料だったのだけれど、観客の入りは6割といったところ。それでも一つ一つ色が違う席で埋め尽くされたカラフルな客席に座っていると、満員の会場にいるみたいな気分になってくる。カラフル・ポップなタヴェイラの建築はそこにいるだけでなんだか楽しかった。

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